前回に引き続き,複式家計簿のお話です.
はじめに
今や支払い方法は多種多様で,現金払いだけではありません.
クレジットカード払いもしますし,貯まったポイントを支払いに充てたり,電子マネーにチャージして支払ったり・・・
普通に家計簿つけていると
アレ?どう書いたらいいの?
と思うことがたくさん.
例えばクレジットカード払い,支払った日と引落日のどちらで書いていますか?
引落日で家計簿つけると金額がまとまってしまっているので何を買ったのかわからなくなるし,支払った日で家計簿をつけると,引落日を忘れてしまって銀行残高が足りなくなっているなんてことも!
ポイント払いはどう書いていいか悩んだ結果,結局なかったことにしちゃったりして,後で見返したときに,なんでこんなに安かったのかわからくなっていたり.
電子マネーはどうせ現金でチャージしているからと,現金と同じ扱いにしてしまって現金計が合わなくなったり・・・
マメな方だと,ポイントや電子マネーの入出金だけ記録する別の家計簿をわざわざつけている方もいるかもしれませんね.
せっかく家計簿をつけているのにこれでは家計がうまく把握できない!
でもそれも今日で卒業です.
全部ひとつの家計簿で簡単に管理できちゃいます.
これまでのおさらい
これから付ける家計簿は,複式簿記で記入するとお話ししました.
複式簿記と言っても,家計簿レベルまで落として説明しますので,難しく考える必要はありません.
最初に複式簿記についてと,分類や仕訳の仕方を簡単に説明しました↓
その後,科目リストと仕訳帳を作りました↓
これからは,この仕訳帳に実際に書いていきます.
仕訳に慣れるまでは,この表を見ながら書くとわかりやすいと思います.
今回はクレジットカード払いの仕訳をしてみます.
クレジットカード払い
クレジットカード払いは,デポジットカードと違って,使ったその場で引き落とされることは基本的にはありません.
だいたいどこのクレジットカード会社でも,毎月締め日があって,前の月の締め日の次の日から今月の締め日までに使った金額が,1ヶ月分まとめて支払日に引き落とされるようになっています.
そこで家計簿に書くときに立ち止まります.
今日クレジットカードで支払ったものは,今日付けで家計簿に書くの?
それとも,引き落とされた日に家計簿に書くの?
最初に答えを言ってしまいましょう.
答えは,どっちも書きます.
ちょっと面倒くさいと思うかもしれませんが,実際にお金が動いているのが支払日と引落日と2回あるので仕方ありません.
横着してどちらか1つにまとめようとすると,お金の流れが見えなくなってしまいます.
これではせっかく家計簿を書いている意味がなくなってしまいます.
さっきの例で出てきたのは,「資産」「費用」「収入」のみでしたが,クレジットカード払いの場合は「負債」が出てきます!
(と言っても自動入力されるので,そんなに気にする必要はありません.)
さて,さっさく例を見ていきましょう.
クレジットカード(Aカードとしましょう)の利用明細の内容が以下のような場合を考えます.
---ご請求---
支払日:2月25日
支払口座:B銀行
支払合計金額:9000円
---ご利用明細---
1月3日:C電力 3000円
1月5日:Dスーパー 5000円
1月20日:E保険 1000円
まず,1月の支払日から家計簿に書いていきます.
支払日は,
- 1月3日
- 1月5日
- 1月20日
の3日ですね.
まとめて3日分書いてみましょう.
C電力とDスーパーとE保険は全部「費用」ですね.
「費用がかかる」はプラスで書きます.
1月3日:費用(C電力の水光熱費)が3000円かかった
1月5日:費用(Dスーパーの食費)が5000円かかった
1月20日:費用(E保険の保険料)が1000円かかった
問題はマイナスが何か?です.
必ずプラスとマイナスの両方を書く必要があります.
支払は来月の2月だし,支払った1月の段階では,手元のお金は何も減っていません.
余談ですが,「ご利用限度額」は,使ったその場でキッチリ減ります.
もし気にしたことがなかったら,クレジットカードのマイページで「ご利用限度額」を見てみてください.
さて,話を元に戻します.
1月にクレジットカードで支払った3日分の「プラス」は費用でしたが,「マイナス」は何か?
ヒントは「まだ払っていないお金」,そしてさっきもチラッとお話した「負債」.
まだ払っていないお金・・・負債・・・そう.
ズバリ,マイナスは「未払金」です.
「未払金」という「負債」が増えます.
「負債が増える」この場合はマイナスで書くのでしたね.
1月3日:負債(Aカードの未払金)が3000円増えた
1月5日:負債(Aカードの未払金)が5000円増えた
1月20日:負債(Aカードの未払金)が1000円増えた
これで1月の支払日について仕訳ができました!
次に2月の引落日の仕訳をしてみましょう.
2月の引落日は2月25日の1日分ですね.
とりあえずB銀行の預金口座が9000円減るので「資産」が減っています.
「資産が減る」はマイナスで書きます.
資産(現金預金のB銀行)が9000円減った
今度の問題はプラスが何か?です.
そんなに難しく考える必要はありません.
先月1月に払っていなかった分を支払っただけの話なので,ようは「未払金」がチャラになったのですよね.
つまり,「負債」が減る.
負債が減ったらプラス?マイナス?忘れていたら先ほどの表をチェックしてみましょう.
思い出しましたか?
負債が減ったらプラスに書く!
プラスは「未払金」の9000円です.
負債(Aカードの未払金)が9000円減った
わからなくなったら何度でもまとめの表を見直してください.
というわけで,仕訳帳はこうなりました!
リボ払い
家計簿をしっかり書こうとしている皆さんがリボ払いしているとは思えませんが・・・
知らない間に勝手にリボ払いの設定になっていた,というのはよくある話です.
明細は必ず確認するようにしたいですね.
中には,リボ払いを卒業するためにしっかり家計簿を書きたい!という方もいらっしゃるかもしれません.
また,ローンを組んでいる方にも参考になると思います.
リボ払いどれだけ怖いことか,これから説明する仕訳例を見たら実感できると思いますので,
リボ払いなんて無縁だから知らなくていい!
と思った方も,ぜひこのまま読み進めてリボ払いの疑似体験をして行ってください.
(実は俺もリボ払いなんて無縁だと思っていたクチだったのですが,リボ払いに無知だった自分を呪うハメになった苦い過去があります・・・)
---ご請求---
支払日:2月25日
支払口座:B銀行
支払合計金額:6000円(内手数料1000円)
---ご利用明細---
1月3日:C電力 3000円(リボ払い)
1月5日:Dスーパー 5000円(リボ払い)
1月20日:E保険 1000円(リボ払い)
明細はさっきと同じですが,リボ払いしているので支払い金額が違ってきています.
使った金額の合計の合計は9000円なのに,支払金額は謎の6000円です.
とりあえずまずはこの明細だけで家計簿をつけてみましょう.
考え方は先ほどと同じです.
まずは1月の支払日3日分を書きます.
プラスはさっきと全く同じです.
1月3日:費用(C電力の水光熱費)が3000円かかった
1月5日:費用(Dスーパーの食費)が5000円かかった
1月20日:費用(E保険の保険料)が1000円かかった
マイナスは,前回は「未払金」としましたが,今回はリボ払いという名の借金ですので,「借入金」にしましょう.
それだけです.
1月3日:負債(Aカードの借入金)が3000円増えた
1月5日:負債(Aカードの借入金)が5000円増えた
1月20日:負債(Aカードの借入金)が1000円増えた
「未払金」→「借入金」になっただけで他は一緒ですね.
さてお次は2月の引落日です.
まずは簡単なマイナスの方から.
これも前回と同じでB銀行から引き落とされているので,マイナスはB銀行6000円.
資産(現金預金のB銀行)が6000円減った
前回との違いは金額だけで,仕訳の仕方は全く同じです.
次に2月のプラス分.
ココだけが全く違います.
マイナスは1行ではなく2行になります.
仕訳しなければならないものが2つあるということです.
内手数料1000円と書かれている部分に注目しましょう.
つまり,6000円は,元金5000円と手数料1000円に分けられるということです.
それぞれ仕訳していきます.
まず元金5000円.
これは,借り入れた金額のうち,5000円を返済したということ.
言い換えると,借入金が5000円減ったということですね.
借入金は負債です.
負債が減ったらプラスに書く.
プラスの1つ目は「借入金」5000円です.
負債(Aカードの借入金)が5000円減った
さて2つ目の手数料1000円.
これはいわゆる支払利息です.
支払利息は費用.
費用がかかったのでプラス.
プラスの2つ目は「支払利息」1000円となります.
費用(Aカードの支払利息)が1000円かかった
先ほど,「必ずプラスとマイナスの両方を書く必要がある」と書きましたが,もう一つ大事なことがあります.
必ずプラマイゼロになるように書く必要があります.
プラスは負債の5000円と費用1000円の2つありました.
マイナスは銀行から減った6000円です.
素直に全部足します.
+ 5000 + 1000 - 6000 = 0
プラマイゼロになったのでOKです!
ちなみにですが,この例のような明細が来ている場合,毎月5000円しか払わなくていいコースでリボ払いをしているということが予想できます.
あと,手数料が1000円引かれちゃっているので,実質年率15%だとすると,逆算してだいたい10万円くらいの借金が残っている状態であることも予想できます.
先ほどはこの明細だけで家計簿を書いたので,Aカードのリボ払いの残高は4000円ということになっています.
でもたぶん本当は10万円くらい残高があるのです.
というわけで,この明細だけで家計簿を書いても,リボ払いの実態が反映されていない可能性が高いです.
せっかく家計簿を書くのであれば,全部見える化しておいた方が良いでしょう.
これまで増やしてしまった10万円の借金も家計簿に記録しておきます.
今までの全ての明細を家計簿に書いていってもいいですが,過去の明細がない場合がほとんどでしょうし,あっても途方もない作業になる可能性が高いので,この引落日にこれまでの借金を一度に借りたことにしてしまいましょう.
さて,クレジットカードのご利用明細,他のページも含めて隅々まで見てください.
「お支払い残高」等と書かれている別の明細を見つけられましたか?
こんな感じです.
---お支払い残高---
前回お支払後元金残高 96000円
新規ご利用額 9000円
今回お支払額 元金 5000円
今回お支払額 手数料 1000円
今回お支払後元金残高 100000円
※手数料はだいたい年率15%くらいで計算していますが厳密な数字ではありません.
この明細のうち,まだ家計簿に記録していない数字は1つだけです.
どれかわかりますか?
答えは,96000円です.
新規ご利用額の9000円は,1月の3日分に借入金として既に家計簿に記入済みです.
元金5000円と手数料1000円は,2月分にそれぞれ書きましたね.
今回お支払後元金残高100000円は,書いていないように思いますが,そうではありません.
9000円使って支払いに充てたのは5000円ということまでは家計簿に書いたので,差し引き4000円分の残高があることは既に記入済みということです.
100000 - 4000 = 96000
つまり,96000円部分だけが書かれていないのです.
ではこの96000円の借入金を仕分けします.
まずは,借入金という負債が増えているので,マイナスは簡単です.
負債(Aカードの借入金)が96000円増えた
プラスは何になるでしょうか?
目の前に何もないので,難しいかもしれませんが,リボ払いをしたということは,過去に何かを支払ったということですよね.
だから,プラスは「費用」がかかったのです.
96000円を何に使ったかは全部覚えていないと思うので,科目は「雑費」にしておきましょう.
費用(Aカードの過去の支払いをまとめて雑費として)が96000円かかった
もし今こんな感じの明細が届いている場合は,少しずつでも繰り上げ返済することをおススメしますよマジで...
まとめ
今回は,クレジットカード払いとリボ払いの場合の仕訳をしました. 最後におさらい!クレジットカード払いの仕訳
明細はこちらでした.
---ご請求---
支払日:2月25日
支払口座:B銀行
支払合計金額:9000円
---ご利用明細---
1月3日:C電力 3000円
1月5日:Dスーパー 5000円
1月20日:E保険 1000円
仕訳帳はこうなりました.
リボ払いの仕訳
リボ払いでは,明細だけでなく,残高も確認しました.
---ご請求---
支払日:2月25日
支払口座:B銀行
支払合計金額:6000円(内手数料1000円)
---ご利用明細---
1月3日:C電力 3000円(リボ払い)
1月5日:Dスーパー 5000円(リボ払い)
1月20日:E保険 1000円(リボ払い)
---お支払い残高---
前回お支払後元金残高 96000円
新規ご利用額 9000円
今回お支払額 元金 5000円
今回お支払額 手数料 1000円
今回お支払後元金残高 100000円
全て仕訳したものがこちらです.
次回はポイント払いの仕訳方法です!