リケジョライダー俺たんです!
今日はちょっと肌断食連想ゲームが過ぎて「出産」にまで想いを馳せてしまったお話をします.
肌断食をはじめる最適なタイミング?
一見「出産」って肌断食と全く関係ないですよね(汗)
でも,ちょっと考えてみてください.
湯シャン・肌断食をはじめるベストなタイミングがあるとすれば,それっていつだろう?って・・・
そりゃ,できるだけ早い方がいいですよね?
んで頭の中でさかのぼっていったところ,肌断食はじめるのに一番適したタイミングは生まれた瞬間じゃん!と思い至ったわけです.
だけど・・・
よくよく考えたら,この化学薬品にまみれた世界で普通に病院で出産したら,その時点でもう生まれた瞬間から化学薬品まみれですよね??
「どうやったら生まれた瞬間から肌断食できる環境に身を置くことができるのか・・・?」
そんなことを考えていたらとある本に出会ったのですが,これがちょっと命にかかわるトンデモ本でしたので,本のご紹介ついでにこの本を読むときに気を付けるべきことと,読み方のコツを書いていこうと思います.
「プライベート出産」という選択肢
化学薬品にまみれたこの世界で,どうやったら生まれた瞬間から肌断食できる環境に身を置くことができるのか・・・?
色々考えたけれど,出てくる答えはただひとつ.
「え,病院行かずに家で生むしかなくない?」
ですよね?
そんなことできるの?
実はできます.そりゃできます.人間も動物です.
日本では一応法的にも認められています.
ただ,世間からは認められていません.
湯シャンや肌断食と同じように...
シャンプーすることは法律で強制されていることではないけれど,ヤバイ人扱いされる可能性はかなり高いです.
病院行かず助産師さんに来てもらうでもなく,家で単独で出産するのも湯シャンと同じで,法律で規制されてはいませんがヤバい人扱いされる可能性は高くなります.
でもできます.
そういう出産を「無介助分娩」,「プライベート出産」などというそうです.
実際にどんな感じなんだろう?と色々調べたり,実際に経験した方等に話を伺ってみたりしました.
そしたら,プライベート出産するなら必ず読むべきと言われている指南書があるというではありませんか!
そこで読んでみることにしました.
そしたらこれがまた肌断食をおすすめしているこの俺でもちょっとびっくりするほどのトンデモ本でした!!!
医療否定?母乳信仰?菜食主義・・・?確かに怪しげな本だ!って?
いえいえ,そんなのは問題じゃないんです.
むしろ一番読みごたえのある,評価ポイントですそこは.
問題は,書き方がちょっとマズいというか誤解を生むというか,とにかく書かれていることをそのまま真に受けちゃうのはマジでキケンです!
あの,普通に命にかかわるお話です.
ではさっそく注意点を見ていきましょう.
注意点1 著者の主張に矛盾がある
俺が今回出会った本はコレです.
まずね,出だし.
自然なお産によって健康な赤ちゃんを産みたい。ーこれは、妊娠・出産をひかえた女性ならだれもがもつ願いです。
こんな本文から始まります.でね,もう少し読み進めるとこうも書いてあります.
千のお産があれば千の多様性があります。
・・・この矛盾に気が付きますか?
ここで矛盾に気が付けない方には俺はこの本をあんまりおススメしたくありません.
「普通に病院に行って生むけどこういう本も読んでみたい」って感じで読むなら全然アリです!むしろ読んでください!!面白い本です!!!
でも,マジでプライベート出産しようと思ってこの本を参考書にするつもりでしたらまず,この矛盾に気づけるようになってください.
「千の多様性」があるんですよね?
つまり,「自然なお産によって健康な赤ちゃんを産みたい」と願ってはいない妊娠・出産をひかえた女性も中にはいるってことですよね?
常識的に考えてそれはないって?
いえ,普通にいると思います.
自然とは程遠くてもガッツリ医療行為を受けて出産することが安心安全と考える方も多数いるでしょう.
こんなこと言いたくありませんが,悲惨な犯罪に巻き込まれて妊娠してしまった方がその犯罪者の赤ちゃんを健康に産みたいと願わないのも何も不思議じゃありません.
なんで「だれもがもつ」願いって断定しているんですか?
「だれもがもつ願い」って,「唯一の画一性」じゃないですか.
千の多様性と真逆ですよ?
この本を読み進めていくと,こんな矛盾が随所にあります.
あるところでは「非科学こそ至高!」って言っていたのに,別のところでは「これは非科学的だから怪しい」って言ってみたり.
都合よく捻じ曲げちゃってるところがちょこちょこあるんですよ.
そこんとこの著者の使う「トリック」をちゃんと見抜けるようになってください.
注意点2 根拠のないことを平気で断定
俺がこの本を手にしてちょっと感動したのは「参考文献」の量です.
一応,専門書扱いではないと思うので,そういう本にしてはものすごい数の「参考文献」が示されています.
素晴らしいことだと思います.
俺は参考文献までは追いかけませんでしたが,気になる人は参考文献を追ってもっと深く知ることができます.
あと,「ちゃんと根拠を示している」という点でも俺的めっちゃ高評価!
でも.
そういう参考文献といった「根拠」がないところでも断定しちゃってるところが本当に多い.
参考文献をたくさん載せてくれているから,読む人は,その本文中に参考文献の引用がなかったとしても,断定されていれば,何か根拠があると思っちゃいますよね.
この著者はあくまで「自然哲学者」であって,助産師でもなければ,医療従事者でもありません.
肌断食での指南書と言えばこれですよね.
著者「宇津木龍一」は医者です.たくさんの実例も見ていますし,自分自身も肌断食を実践されている方です.
でも著者「さかのまこと」はそういった資格もなければ実例をたくさん見ているような方でもないようです.
したがって,この著者が断定しているからと言って,信頼できる言葉かと言われると,疑問があると言わざるを得ません.
注意点3 参考文献の信頼性
さて,先ほどは参考文献がたくさん載っていて素晴らしい!という話をしましたが,実はひとつ問題があります.
参考文献自体の信頼性です.
ぶっちゃけですよ,この本だって立派な「参考文献」になるんです.
だから俺がこの本の,それこそさっき注意点2で俺が指摘したような,この著者が根拠もなく言っている文を引用して,「大丈夫です!」とか言う事ができるんです.
たとえばこんな風に.
自分のうんちなら,食べちゃっても全然大丈夫ですよ!(1)
【参考文献】(1)あなたにもできる自然出産ー夫婦で読むお産のちしき さかのまこと
※実際に,本文中にこう書いてあります↓
たとえ他者にたいして危険な菌がふくまれている便であっても、当人にとってはさほど危険ではありません(もちろん食べても問題ありません)。
でも参考文献であるこの本のこの文には,特別な根拠はありません.
俺には根拠があります.
ちゃんと出版されている本の「あなたにもできる自然出産」に書かれてあったよ!って.
でも,じゃあ実際この本の著者が便を食べても問題がなかったと言える実験をしたのかというとそういうわけでもないし,根拠となる参考文献も載っていません.
さて,われらが大好きWikipedia先生にはこう書いてあります.
食糞行動は口腔粘膜や胃その他などへの細菌感染など、健康上好ましくない結果を引き起こす可能性がある。
Wikipediaでもその根拠は怪しいのですが,少なくとも,一方では「問題ありません」と書いてあり,もう一方では「健康上好ましくない結果を引き起こす」と書いてあることはわかりますよね.
つまり,この本で引用されている参考文献の本文自体も信用できるものか,精査する必要があります.
でも,参考文献を全て追って精査するというのも,研究者でもない人がやるのはあまり現実的ではありません.
なので,「そういうことを言っている本はあるらしい」くらいの認識にとどめておくことです.
自分も必ずそうなるとは限らない・・・かもしれません.
ちなみにこのブログは,「俺の個人の体験談に基づく話」をしています.
俺の根拠は,俺自身や数人の友人達の体験と,プラスちょっとの本の知識.
それ以上でもそれ以下でもありません.
つまり,
「俺はこうなったよ」
(でもあなたもそうなるかはわからないよ)
(そうなったとしてもあなたにとって「良い」ものか俺は知らないよ)
ってことです.
無責任な書き方に見えるかもしれませんが,こうやってハッキリ言うことが,俺のできる限りの責任の取り方だと思うのです.
俺はハッキリ言います.
「コレは俺個人の体験談です.コレをもとにして何をするかは自己責任です.」
この本の著者はそれができていないと思います.
しかも,肌断食ならまだ肌荒れとかで(「とか」とか言っちゃダメですねごめんなさい)すむかもしれませんが,「出産」って!
実際に亡くなられる方がいる話題で,こんな無責任な書き方しますか・・・って俺は思いました.
(いや肌断食をして亡くなる方がいないとは言っていませんよ...知りませんよ...)
本当に,この本をそのまま真に受けて読むのはマジでアブナイ!です!!
読み方のコツ
ではアブナイ本だから読まない方がいいのかというと,そうではありません.
参考になることや面白いお話がたくさん書かれていますし,ほとんどの方が,今まで考えた事のなかった観点から物事を考えられるようになると思います.
プライベート出産を考えている夫婦のみならず,老若男女,誰でも一読する価値のある本です.
たくさんの参考文献が載っているので,気になった参考文献を読みに行くこともできて,出産関係の本のマップとしてだけでも価値があると思いますし,本文も450ページしっかり書き込まれた良書であることは確かです.
ただ,この本に書かれていることを真に受けないために,読み方にちょっとコツがいるというだけです.
- 根拠が示されてる文章かどうかを見分ける
- 断定文に注意する
- 限定している部分を見落とさない
まず,根拠が示されていない文と,根拠が示されている文を読み分けましょう.
結果、そのせいで産婦が感染したという例はまったくなかったということです(30)。
の(30)のように,カッコ書きで数字が書いてあるところ以外の断定文は,全部「著者の個人的な意見」と思って読んだ方が賢明です.
それと,「著者の個人的な意見」もそうなのですが,ちゃんと参考文献を示している引用文等でも,実は,よーく読んでみると
「さほど~ない」とか
「ほとんど~だった」とか
断定文ではあるけれど地味に「100%とは言っていない」言葉が隠れています.
さっきのうんちを食べる話でも,「さほど危険ではありません」って,「さほど~ない」がでてきています.
また,上の(30)の例では「まったくなかった」と断定していますが,湘南鎌倉総合病院産婦人科でのみの話であり,さらには「そのせいで」と,状況を限定する言葉も隠れています.
そういった「限定している部分」や「全てを断定しているわけではない言葉」を見落とさないことです.
その言葉を見た時や,参考文献が示されていない断定文を見た時は,
「そうならない可能性もある」
「こうなってしまう危険もある」
というふうに頭の中で読みかえましょう.
参考文献がきちんと示されていても,「参考程度」にとどめておいて,「自分も必ずそうなる」と思いこまないようにすることも大事です.
余力があれば気になったところだけでも,Wikipediaでもなんでもいいので,他の文献も調べてみるとなお良いでしょう.
この本を信じて実践して,あなた自身や,あなたの大切な方が死んでも,この著者が責任とってくれるわけではないのですから.
ぶっちゃけ俺自身の意見は
俺ね.
俺はね.
やっぱりプライベート出産選ぶし,俺の大切な人にもおススメしたいね.
そして生まれた瞬間から肌断食したいし,それが広まったらいいなって思う.
俺は,ね.